タイトル:自然人 2017 夏 No.53 電子ブック【サンプル版】

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概要

自然人 2017 夏 No.53 を抜粋した電子ブックのサンプルです。

59夏、野鳥の森で遊ぶニホンリスも棲む国設軽井沢野鳥の森のガイドツアー「野鳥の森ネイチャーウォッチング」。森の小径を案内していると、樹上から「ジョリジョリ……」というニホンリスがクルミの殻を齧る独特な音が聞こえて、その可愛らしい姿を観察できる事もあります。また遊歩道の上にクルミを食べた殻が落ちていたり、近くにオニグルミの木がない場所で芽を出したオニグルミを見つけたりと、ニホンリスが残した仕業に気付く事もあります。「野鳥の森ネイチャーウォッチング」【開催期間】毎日【時間】10時出発?12時まで(毎日)13時30分出発?15時30分まで(4月?11月)【料金】大人2,100円4歳?小学生1,000円双眼鏡レンタル300円【申し込み】要予約何と2枚重ねにして両手で左右から抱え、上から順に殻の中身を食べて、食べ終わった殻をポイ!結果、オニグルミの根元には、2つに割れたクルミの殻がいくつも落ちています。この様子は見ていてとても楽しいのですが、時には実を口にくわえたまま持ち去ってしまう事もあります。硬い殻に包まれたクルミの実は、保存性に優れた栄養満点のお弁当。枝の股や地中に隠して、後日のお楽しみに残しておくのです。長く厳しい冬はもちろん、翌年の夏まで、季節外れのクルミの実をジョリジョリ齧っているニホンリスに出会います。そんなに長い期間、たくさんの実を隠した場所を、ニホンリスはいちいち覚えているのでしょうか?まあ、ある程度覚えているのかもしれませんが、地面をクンクン捜している様子を見ると、最後は嗅覚をたよりにしているようです。当然、中には食べ忘れもあ○ピッキオ長野県北佐久郡軽井沢町星野?0267(45)7777http://picchio.co.jp/sp/る訳で、そこがオニグルミにとって良い場所ならば、種子が発芽し、新しい木が成長する事になります。何年も後、そのオニグルミが実をつけると、またニホンリスがやってくるでしょう。そのリスは、クルミを食べ忘れたリスの子孫かもしれません。本人にその気はないと思いますが、ニホンリスは自分達の子孫のため、オニグルミの種子を運び、地面に埋めて育てているのです。ピッキオのこの連載は、今回が最後となります。さまざまな角度から、軽井沢の自然をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。私たちはこれからも、軽井沢の森で皆さんのお越しをお待ちしております。そしてクルミを埋めたまま忘れるニホンリスのように、人々の心の中に種子を植え、心に森を育てる事で、次の世代に本物の森を残していけたらと思っています。オニグルミの実緑色の大きな実が房状に垂れ下がるニホンリスが食べたオニグルミの殻きれいに2つに割れている