タイトル:自然人 2017 春 No.52 電子ブック【サンプル版】
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自然人 2017 春 No.52 を抜粋した電子ブックのサンプルです。
身近なものを入口に栃木県生まれの増渕さんは子どものころ、実家近くにあった博物館や科学館が遊び場で、小学生の時には「大人になったら博物館の学芸員になりたい」と夢見ていた。富山大学理学部地球科学科には気象を学ぶために入学。ところが青空と雲のコントラストが美しい故郷・栃木の空と違って、富山県は曇天の日が多い。気象の研究はパソコン相手がメインということもあって、アウトドアで活動することが好きな増渕さんは、空よりも次第に地質学に興味を移していく。大学在学中は地質を勉強するため、富山県はもちろん、北海道から九州、果てはハワイまで股にかけ、各地の地質を見て回った。「いろんな景色を見るのが楽しかったですね。地質学を学ぶことで『きれいな景色』がどのように作られてきたのかを考えるようになり、自然の見方を学びました」しかし当時、増渕さんは石に対してほとんど関心を持っていなかったそうだ。石を好きになったのは同大大学院修士課程修了後、2009年に富山市科学博物館に学芸員として就職してからだ。博物館が所蔵する石の標本や、博物館にやってくる石好きな人たちと交流するうち、石の魅力に引き込まれていった。「とても身近な存在なのに、石には分からないことがたくさんあるんです。たとえば近くの川にどんな石があるかさえ分かっていない。学芸員の仕事の一つは〝人々に興味を持ってもらうこと〟。まずは身近なものを調べることで、興味の入口にしてもらおうと考えました」それが2010年から開始した「常願寺川の石」調査だった。その前年の2009年には、調査に協力してもらうボランティアグループ「ごろごろ」も立ち上げている。メンバーは最初、ひとりだったが、少しずつ増えて現在は約10人。いずれも当初は石に関心がなかったというが、増渕さんに感化され、共鳴して、いまではみんな名うての石愛好者になっているのだそうだ。「7大河川」制覇へ増渕さんは常願寺川に続いて「神通川の石」の調査に着手、およそ4年を費やした調査結果を3月中にまとめる予定である。今後、常願寺川や神通川とともに「富山7大河川」に数えられる黒部川、片貝川、早月川、庄川、小矢部川も調査していくつもりだ。一石を磨く「ごろごろ」のメンバー富山市内各地の土を収集したサンプル。今年3月4日? 4月23日に開催される企画展で展示する石は磨くとより特徴がわかる(写真はヒスイ)身近な石が多くのことを教えてくれる石を分類するのは骨の折れる仕事41